捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

「……俺と、恋愛してもらえませんか?」

「…………え?」


暗くて惣介さんの顔は見えないけど、私はその声の方に顔を上げた。

……今、何て言った?

私は惣介さんの言葉の意味がわからないままだけど、惣介さんは言葉を続ける。


「これ、“提案”じゃなくて……“告白”ですから」

「……告、白?」

「……好きなんです。琴音さんのことが」

「…………」


頭の中がぐちゃぐちゃで惣介さんが何を言ってるのかわからない。

好きって言った……?

……“琴音さんのことが”……?

誰が……?


「……あの、ご、ごめんなさい」

「っ!……ですよね、すみません……勝手なことを」

「あ、じゃなくて……っ、えっと」

「……え?」

「ごめんなさい……もう一度、言ってもらえますか?頭ぐちゃぐちゃで、惣介さんが何を言ってるのかよくわからない、です」


何度も同じことを言わせてしまって、また迷惑を掛けてると思いながら、「ごめんなさい」と言うと。


「……いえ、突然で戸惑わせてますよね……すみません。俺の気持ちなら何度でも言います。伝わるまで伝えます」

「……」

「俺は琴音さんのことが好きです。恋をしました」

「…………え……、え?」


……やっぱり好きって聞こえた。

主語は“俺”。

目的語は…………私?

…………恋を、した?

 
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