捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

「初めて会った時から強い予感があったんです。……俺は琴音さんを好きになるって。だから、提案したんです。恋愛してみますか、って。これでもし幸運にも琴音さんが振り向いてくれたら、二人で一緒にもっと幸せになれるって。……もし振り向いてもらえなくて俺の一方通行でも、好きな人と一生一緒に居れるわけだし、それはそれで十分幸せだって」

「……“俺は琴音さんを好きに”……?」

「……ふ、まだわかってもらえませんか?もう一度言います。……好きです。琴音さんのことを、心から」


何度聞いても、同じ“好き”という単語が聞こえる。

しかも、私の名前付きで。

……それなら……名前を入れ替えてみたら、どうなる?


「……えっと……。じゃあ……、私は惣介さんのことが好きです、って言ったらどうなりますか?」

「…………え?」

「え?だから……、私は惣介さんのことがすごく好きなんですけど……これって、惣介さんが言っている言葉とは違う意味ですか?」

「……それは、冗談ではなく?」

「冗談?そんなわけないです。すごく本気です。……私は惣介さんのことが、好きです」

「琴音さん、本当に?」

「……はい。って、あれ?私、やっぱり間違ってるってことですか?ごめんなさ、っ!?」


暗くてよくわからなかったけど、ぐっと手を引かれたのを感じ、そのまま惣介さんの香りに私は包まれた。

……つまりは、私は惣介さんに抱きしめられてるってことだ。

……え、どういうこと!?

 
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