捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
「……惣介さん」
「はい?」
「……好きです」
「……はい。俺もです」
「ほんとに惣介さんが好きなんですよ……っ?いいんですか?本当に迷惑じゃないんですか?」
「迷惑なわけないでしょう?すごく欲しかった気持ちなんですから。っていうか何度も告白してくれるなんて……もう、かわいすぎます。でも……俺の方が絶対に琴音さんのことを好きですよ?」
「……そ、そうなんですか?」
「はい。絶対です」
「……私はこんなに惣介さんのことを、好きなのに、ですか?」
「……はい。それ以上に、俺は琴音さんを好きです。負けませんよ?」
「私だって、負けません……っ!」
「くくっ。じゃあ今日のところは、おあいこってことにしますか?せっかく想いが通じあったのに、ケンカしたくないですし」
「……はい」
出てくるままに素直な気持ちを口に出したけど、惣介さんは何も否定してこなかった。
それどころか、同じように「好き」だと伝えてくれて。
……それが意味するのは……想いを受け入れてもらえたということ。
……同じ想いだということ。
……夢の中にいるみたいだ。
さっきまではあんなに絶望した心だったのに、今は心がすごく温かい。
そして、空気はぴりっと冷たいのに身体は温かい。
……それは惣介さんの腕の中にいるから。
ぐんぐんと込み上げてくる嬉しさに、私も惣介さんと同じように、その背中に腕を回してぎゅっと力を込めた。
「……惣介さん……っ」
「はい」
「惣介さん……っ」
「はい。琴音さん」
「……これ、夢じゃないんですよね……っ?」
「……もちろんです。夢落ちなんて嫌です。絶対に、現実ですから」
「……はい……っ」
ふわふわとした感覚のまま、私は惣介さんの言葉に応えた。