捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 



「ケーキを置いてきますね」と惣介さんは一旦マンションの部屋に戻り、私はそのエントランスでお留守番をしていた。

外観も西洋風ですごく素敵だけど、エントランスも負けずに素敵だ。

ついフラフラと歩いて眺めてしまう。

あ、ここからは小さな庭に出れるんだ。

エレベーターの扉もメタルなのに蔦でデザインされていてかわいいし、郵便受けも木製ですごくかわいい!


「いいなぁいいなぁ……私も住んでみたい」

「……じゃあ、近いうちに引っ越してきますか?」


背後から突然聞こえてきた声に、私はビクッと振り向く。


「!!そ、惣介さんっ!いつの間にっ」

「?今ですよ。……どうしますか?ちょっと早いですけど、一緒に住みますか?」

「!!!な、何を……っ!」

「あーでも、二人で住むにはちょうどいい広さとは言え、部屋を片付けないと琴音さんの荷物を入れれないですね……。もう少し待っててください」


さくさくと惣介さんの中で引越し計画が立てられているのに気付いた私は、慌てて止めに入る。


「いやっ、あのっ」

「え?」

「……その前に、こ、心の準備をさせてください……」

「……くくっ、はい」


結婚を前提にお付き合いしていると言っても、さすがにまだ一緒に住むとかは考えられない。

でも、もしそうなれば……

そうだよね、ここに住むことになるの、かな?

 
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