捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
*
「……いまいちでしたね……こっちのパン……」
「そうですか?珍しくていいと思いますけど」
「……正直な感想言っていいんですよ……すみません」
1回目のデートの時とは違う場所にレジャーシートを敷いて、私と惣介さんは座り込みパンを頬張る。
使いきり用のマーガリンやジャム、そしてポットにお気に入りのフレーバーティーも入れてきて、実際はランチなんだけどちょっとしたブランチ気分だ。
パンは2種類持ってきていて。
シンプルなパンはシンプルに普通だったんだけど、もう一つチーズとナッツを入れたものはいまいちな出来だった。
とりあえず好きなものを入れて、後はシンプルなパンと同じように作ったはずなのに、どこで間違ったんだろう?と首を捻ってしまった。
また改良して作ってみよう、と決意する。
「いいですねぇ。手作りのパンって冷めても温かくて。ほくほくします。何て言ったって琴音さんの手作りだし!」
「!あ、ありがとうございます。今後はもっと頑張ります……」
「……ちょっと将来のこと妄想すると、ウハってしまいそうですね」
「!!ウハるって……」
「こんな風に好きな人と一緒に過ごす生活って素敵じゃないですか?今から楽しみです」
「ま、まぁ……そうです、ね」
真っ直ぐと気持ちを言ってくる惣介さんに私は照れてしまって、もごもごと頷く。