捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 



「……いまいちでしたね……こっちのパン……」

「そうですか?珍しくていいと思いますけど」

「……正直な感想言っていいんですよ……すみません」


1回目のデートの時とは違う場所にレジャーシートを敷いて、私と惣介さんは座り込みパンを頬張る。

使いきり用のマーガリンやジャム、そしてポットにお気に入りのフレーバーティーも入れてきて、実際はランチなんだけどちょっとしたブランチ気分だ。

パンは2種類持ってきていて。

シンプルなパンはシンプルに普通だったんだけど、もう一つチーズとナッツを入れたものはいまいちな出来だった。

とりあえず好きなものを入れて、後はシンプルなパンと同じように作ったはずなのに、どこで間違ったんだろう?と首を捻ってしまった。

また改良して作ってみよう、と決意する。


「いいですねぇ。手作りのパンって冷めても温かくて。ほくほくします。何て言ったって琴音さんの手作りだし!」

「!あ、ありがとうございます。今後はもっと頑張ります……」

「……ちょっと将来のこと妄想すると、ウハってしまいそうですね」

「!!ウハるって……」

「こんな風に好きな人と一緒に過ごす生活って素敵じゃないですか?今から楽しみです」

「ま、まぁ……そうです、ね」


真っ直ぐと気持ちを言ってくる惣介さんに私は照れてしまって、もごもごと頷く。

 
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