捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

「あ。」

「え?っ!?」


惣介さんの親指が私の唇に触れ、きゅっと拭う。

何が起こったんだろう、ときょとんとしていると。

惣介さんがにこっと笑って、


「マーガリン、ついてました」

「あ、ありが……っ!?」


と、何のためらいもなく、惣介さんは私の唇を拭った親指をぺろりと舐める。

その姿は私の心臓を飛び跳ねさせるのに十分なもので。

私は何て子供なんだろうという気持ちと、さらっとそんなことをしてくる惣介さんの甘さに、ドキドキと鼓動が大きくなっていくのを感じる。

何とかドキドキを落ち着かせて、改めてお礼を言う。


「あ、ありがとうございます……」

「いえ?」


惣介さんはいつもと変わらず、私ににこりと笑いかけてくれる。

そして、ふと眩しそうな目をして空を仰いだ。


「そろそろデートの場所を外にするのは辛くなりそうですね~」

「あっ、そうですね!確かに、寒くなってきましたもんねぇ。今日は日が当たってあったかいですけど、長い時間外にいるのは辛くなってきましたよね」

「やっぱりですよね……。んー、次はどこに行こうかと考えてたんですよね……」

「あ……そう、ですね」


想いが通じ合ってからも、こうやってデートの場所を真剣に考えてくれることが嬉しくて仕方ない。

 
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