捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
「俺としては琴音さんとならどこでもいいんですけど……どこか行きたいところとかありますか?」
「……私も惣介さんがいればどこでも、です」
「ふ、ぼちぼちいきましょうかね~。時間はたっぷりありますし、家でのんびりぬくぬくするっていうのもいいですよね」
時間はたっぷりある、という言葉に未来を思い描いてくれてるんだと嬉しくなる。
それに、“家でのんびりぬくぬく”というのを想像すると……すごく魅力的でいい。
だって私は。
「……実は、ですね」
「はい?」
「お散歩も大好きなんですけど、基本的にはかなりの引きこもり族なんです。私」
「……ふ、そうなんですか?」
「あ、でも、誤解しないでくださいね?惣介さんと出かけるのが嫌ってわけじゃなくて。それは最近好きになったことなんです。それまではずっと一人だったし、家でぐだぐだ~っとDVDを見たり本を読んだりして過ごすのが日常だったんですよね……すごく暗いですけど」
「……いや、何となく想像できます。それに暗いとか思いませんよ?むしろ、遊びまわっていられても、って感じがしますし」
「そう言ってもらえるなら、良かったです。友達には“外に出なきゃ!そんな暗い人生でいいの!?”ってよく言われるんですよね~。あながちはずれてはいないし、頷くしかないんですけど」
「大丈夫ですよ。だって……これからは俺と一緒に過ごしてくれるんでしょう?家でのんびりぬくぬくを一緒に楽しみましょう」
「!……はいっ」
惣介さんじゃなかったらきっとこんなこと言ってくれないと思う。
ぴったりとはまったパズルみたいに私と惣介さんはきっと、のんびりと一緒に過ごしていけるのかなと思うと嬉しくなる。