捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
……パズル。
私はあることを思いついて、私と惣介さんの間に置かれていた荷物を移動させる。
「琴音さん?どうかしましたか?」
惣介さんは突然動き出した私にきょとんとしているようだ。
私と惣介さんとの間を邪魔するものが何もなくなった時、私はそそそと惣介さんに近付いて、ぴたっと惣介さんに身体を寄せた。
「え?」
「……たまには、こうやってくっついて日向ぼっこもしたいです。いいですか?」
「!もちろんです。むしろ、大歓迎です」
「ひゃ……っ」
惣介さんの腕が私の肩を抱き寄せて、さらにその距離が縮まる。
「……俺はこうやってもっとくっつきたいので、たまにはさせてくださいね」
「は、はい……っ」
突然触れられてドキドキしつつも、ちらっと惣介さんの顔を覗き込むと、惣介さんから仕掛けてきたはずなのにちょっと照れたような表情をしていて、くすっと笑ってしまった。
惣介さんの顔を見つめたまま「……幸せだなぁ」と言うと、やっぱり照れた様子で「はい……同じくです」と返してくれる。
惣介さんの唇がきゅっと弧を描く瞬間を見るのが好きで。
……一度も触れたことのないそこに触れたくなるのは、きっと当然のこと。