捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

「……あの、小会議室は」

「あ、そちらの赤い扉です!」

「あぁ、すみません。ありがとうございます」


にっと笑った顔に何故かドキッとしてしまった。

すごく整った顔を持つこの男性は、きっと女を魅了するだろうと思う。

一言で言うと……すごくカッコいい。

つい、見とれてしまうほど。

……惣介さんごめんなさい、と思いつつ、見てしまう。


「……」

「……では、失礼します」

「あっ、はい、ごゆっくり!」

「……ぷっ。はい」

「……?」


私の言葉にくすくすと笑いながら小会議室に向かう男性に、私は首を傾げた。

何か可笑しいことがあったんだろうか?

私は小会議室に男性が消えていくまで、その背中を見ていた。

不思議なことに……その背中に惣介さんを感じながら。

 
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