捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 



今日は定時で上がれる水曜日で、電話で惣介さんとおしゃべりができるという嬉しさで帰宅する足取りも軽くなっていた。

7階でエレベータに乗り、1階のボタンを押す。

降下するエレベータが5階で止まり、開いたドアからエレベータに乗ってきたのは。


「あれ?横山さんじゃん」

「あ。布施くん。お疲れさまー。今帰り?」


同期で営業課の布施くんだった。

会うのは、数ヵ月前子供が生まれたと言って次の日に写メを見せびらかしに来た以来だろうか?

あの日はいつも以上の満面の笑みを浮かべて、すごく喜んでいた。

やっぱり子供ってかわいいものだよな、と羨ましく思ってしまったのを思い出した。


「うん。水曜っていいよなー。しかも今日はラッキーにも外回りはなくて内勤でさ」

「そっか。外回りだと時間関係なくなっちゃうもんね。じゃあ今日はお子さんともたくさん遊べるね」

「そう!そこ重要!」


にかっと笑った顔は本当に嬉しそうで幸せそうだ。

「あ、写メ見る?」とスマホをさっと取り出してきて、目の前に差し出される。

それを覗き込んだ時、エレベータが1階に着き、そのドアが開いた。


「わ、大きくなったね~」

「子供の成長ってすげぇんだって!毎日すごいスピードで進化していくんだよな~ほんと半端ないくらい!あ、これもかわいいんだって!」


歩き出した布施くんの後を追うようにエレベータを出て布施くんの持つ写メを見ながら歩いていると。

 
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