捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
「琴音さん!」
「っ!?」
突然私の耳に飛び込んできたのは、自分の名前で私の身体はビクッと跳ねる。
しかも……その声はまさに愛しの人の声で。
何で会社に惣介さんが!?と思って慌てて声の方を見たけど、そこに見えるのは……
惣介さんではなく、ついさっき小会議室の前で会った人だ。
……いや、声、本当に似すぎでしょ……っ?
「何?横山さんの知り合い?」
「いや……」
「あっ、もしかして、彼氏!?あんなイケメン、どこで捕まえたんだよ!やるじゃん!」
「や、違うって。さっき、小会議室の前で会っただけで……」
あれ?なのに、何で私の名前を知ってるの……?
何が何だかわからなくて足を止めてしまっていると、その男性が私の方に歩み寄ってきた。
……たまたまそこにいたうちの会社の女性社員の目線を集めたまま。
私の目の前に立ち止まり、笑顔のまま口を開いた。