捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

私はやっぱり首を傾げてしまって。

その人の顔を見上げようとすると、その途中であるものがふと目に止まった。


「……」


私の目に写ったのは以前見たことのあるもの……いつか惣介さんのしていたネクタイにいたものと同じ、ぷっくりネコと目が合った。

……人気があるのだろうか?


「琴音さん?」

「!……あ、あの……何で私の名前……」

「……くくっ、まだ気付かないんですね?」

「え?」


気付かない、って何に?

私、気付かない間に自分の名前を伝えたのかな?

それとも……どこかで会ったことがあるとか?


「……困りましたね。恋人の顔も忘れちゃいましたか?」

「…………え?」

「生憎今日はメガネ持ってきてなくて。頭は固めちゃってますし……すみません」


恋人……メガネ……?ってことは。


「……惣介さん……?」

「はい。琴音さん。良かった、恋人と認識されていて」

「惣介、さん……」

「はい。そうですよ」

「…………ええっ!?」

 
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