捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
「そんなに驚かれると複雑です……わからないほど違いますかね……」
「……。」
困っているような表情は惣介さんを強く思わせるけど、やっぱり私の知っている惣介さんとは全くかけ離れた雰囲気を持つ目の前の人に、私は何も言えない。
本当に惣介さんなんだろうか?誰かに騙されてるんじゃないの?と疑ってしまうほどだ。
あっ、まさか、整形……のわけないか……。
それか、兄弟?
……そう言われた方がまだ納得できる。
私が疑っていることに気付いたのか、ハァと息をつくのが耳に入ってきた。
「……ここにいてもきっと埒(らち)開きませんね。ちゃんと話します。帰りましょう」
「え、っ!?」
すっと伸びてきた手に、私の手が包まれる。
その途端、ざわっとエントランス内がざわついた気がした。
繋がれたその感覚は……紛れもなく、間違いなく、惣介さんのものだ。
てことは、この人は本当に惣介さんってことで……
じゃあ、何で今まで、その姿を見せてくれなかったんだろう?
今まで一度もメガネを外さなかったのは、私にその姿を隠したかったからってこと?
確かに驚いたけど……どんな姿でも、私は気にしないのに……?
何だか隠されていた気がして、悲しくなった。