捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 
***


「やだ。琴音、まだ知らなかったの?」

「……え?」

「てっきり、もう知ってると思ってたのに。……ってことは……まだ、してないのねぇ。想いが通じてから2ヶ月くらい経つのに、まだ我慢させてたなんて……三浦くんもかわいそうに」

「……叔母さん、何の話をしてるの?私の話聞いてた?」

「聞いてたわよ?三浦くんの素顔の話でしょう?だから、せっく」

「わぁ!待って!それ以上言わなくていいから!」


もにゃもにゃな言葉が叔母の口から飛び出してくると感じた私は、それを慌てて止める。

……惣介さんと想いが通じた後も、私は叔母に惣介さんとのことに関しての“ほうれんそう”を続けていた。

叔母は私が惣介さんのことを諦めようとした時、止めようとしてくれたし、ずっと応援してくれていたこともあって、すごく感謝してるから。

だから、今回のことも話せる段階まで頭の中がようやくまとまったから叔母に相談に来たんだけど……


「“まだ知らなかったの?”、ってどういうこと?」


その言葉、まるで叔母は惣介さんの素顔のことを知っていたみたいに聞こえるんだけど。


「え?だって、お見合い写真、超イケメンだったし。お見合いの日はダサい格好してたから驚いたけど、何か意味があるのかもしれないって思って、特に問いたださないでいたのよ。まぁ、どうせいつかは知ることになるしって」

「……何それぇ……」


ってことは、惣介さんの素顔を知らなかったのは私だけで……叔母は知ってたってこと?

もちろん、坂本さんも知っているんだろうけど……何も言わなかったのは何で……?

みんなして、私に秘密にしてたってこと?

 
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