捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
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……無性に惣介さんを感じたくなった私は、ある日の仕事帰り、ふらふらと柚ヶ丘駅で降り、惣介さんと何度か来た公園に来ていた。
もう辺りは暗くて、頼りになるのは電灯や自販機の明かりだけ。
刺すような冷たさの風が吹く時期ともあって、人の姿は全く見当たらない。
吐く息は白くて、前が見えなくなるくらいだ。
一人でいる公園はすごく寒くて、辛くて、ただ寂しいだけだった。
……隣に惣介さんがいない。
たった一人の人がいないだけで、私の心の中にぽっかりと穴が開く。
惣介さんと一緒に過ごした日々が夢だったみたいに感じてしまう。
ひゅう、と公園内を冷たい風が吹き荒れる。
「っ、さむ……っ!」
身体を縮こまらせる。
いつだったか、こんなふうに冷たい風が吹いた時、惣介さんにぎゅっと抱き締められたっけ。
あの時はすごく温かくて、幸せだった。
……でも、もう、あの温もりを感じることができなくなるかもしれないんだ……。
一つ気付けば、その分、心が寒くなった。
「はぁ……」
ため息は空に消えていくけど、私のこの寂しい気持ちは消えていかない。
むしろ、強くなる。
惣介さんを感じるどころか、空しくなるだけだと気付いた私は、公園に来てから5分も経たないうちに座っていたベンチから腰を上げた。
「帰ろう……」
……そう呟いた、その時だった。