捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

「っ、琴音さん?」

「もう……私のことなんてどうでも良くなったんですか?……あの女の人がいるから?」

「え?女って……何の話ですか?」

「見たんです!この前の水曜日に惣介さんが綺麗な女の人と一緒にいるところ」

「っ!」


惣介さんの表情が変わった。

思い当たる節がある、という顔だ。

それは女の人と会っていたという事実を認めるものってこと。


「やっぱり……っ!私よりもあの女の人のことが好きなんですか?私を突き放したのはあの人のことを好きになったから?私のことが邪魔になったから!?」

「待ってください!琴音さん、誤解してますから。ちょっと落ち着きましょう?ね?」

「やだ……っ!いや……っ!」

「琴音さん、落ち着いて」


惣介さんの手が私の二の腕を掴む。

触れた途端、私から気持ちが口から一気に溢れ出した。


「好き……っ!」

「っ!」

「惣介さんが好きなんです!惣介さんのことが好きで好きで仕方ないんです!やだっ、離れたくない……っ!好きなんです……っ!好き……!」

「琴音さん!」

「やだぁ……っ、私はこんなに好き、なのに……っ、何で惣介さんは他の人なんかと……っ」

「琴音さん……!」

「好……っ!」


惣介さんが私の身体を引き寄せて、持ち上げるように抱き締める。

惣介さんの胸に顔が押し付けられて、私はそれ以上何も言えなくなった。

代わりにイヤイヤと首を振る。


「落ち着いてください。お願いですから」

「……うぅ……っ」

 
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