捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

「でも。他人に見せるのはもったいなさすぎます。俺のものだけにしておきたいです。……これは他人に見せるべきか悩みますね……」

「いや、悩むも何も……もう、逃げられないところまで来てるんですけど」


後10分もしたら、緑に囲まれたチャペルに行くことになってるんだし!

お見合いの日に惣介さんとはじめて散歩した、あのガーデンにあるチャペルに。

あの時のことを思い出して、ついにやけそうになってしまったけど、はっと顔を引き締める。

ふと惣介さんを見ると、何かを思い付いたように拳と手のひらを合わせていた。


「……惣介さん?」

「琴音さん!いいこと思い付きました!結婚式やめましょう!」

「はいっ!?」

「そうですよ、それがいいですよ!そうしましょう!」

「な、何を……っ」

「あ、勘違いしないでくださいね。結婚をやめようなんて言ってるわけじゃないですから!結婚式をしないだけで」

「そ、惣介さん、待ってください!」

「え?」


とんでもないことを言い出してしまった惣介さんを慌てて止める。

家族も友達もいるし、結婚式をやめるなんて冗談じゃない!

それに、今日をすごく楽しみにして準備だってしてきたのに!

どうにか惣介さんを説得しようと考えを巡らせる。

……って、変な小細工しなくても、本音を言えばちゃんとわかってくれる、よね?


「……惣介さん」

「え?」

「……何を心配してるのかわかりませんけど、私は惣介さんだけのもの、ですよ?ずっと」

「!!!」

「……だから……やめるなんて言わないでください。ね?惣介さんだって、結婚式、すごく楽しみにしてたでしょう?」

「だ、抱き締めてもいいですか……!?」

「えっ!?何でそうなるんですかっ?」

「かわいいからに決まってます!」

「や……っ、待っ」


惣介さんの手が私の目の前に差し出された時。

 
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