捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

そう思った時、私の手が惣介さんのそれに包まれ、私ははっと顔を上げると、そこには穏やかな笑顔を浮かべた惣介さんがいた。


「っ、そ、惣介さん……っ?」

「琴音さん」

「あ、は、はいっ」

「ゆっくり、深呼吸しましょう?」

「!……はい」


すーはー、と深呼吸をすると、すごく楽になった。

冷たくて痺れかけていた指先に、体温がもどっていく。

その時、惣介さんの温かい手が私の手を包み込むように持ち上げた。


「大丈夫ですよ。ゆっくりいきましょう。……ここが俺たちのスタートです。一人じゃないですから……一緒に歩いていきましょう」

「はい……っ」

「俺はいつも琴音さんの隣にいますから、安心してください」


隣で笑顔で励ましてくれる惣介さんは、きっとこれからも私を優しく支えてくれるから。

同じように私も支えたいと思う。


「……はい」


私は惣介さんの言葉に、ゆっくりと頷いた。

 
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