捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
「……や、やっぱり教えてください!何か恥ずかしいです!」
「ダメでーす。くくっ」
「気になるじゃないですかー!」
私は惣介さんの胸元を掴んでゆさゆさと揺する。
でも惣介さんはにこにことして、全く動じてくれない。
「そんなに心配しなくても大丈夫ですよー。別に変な癖じゃないですし、きっと俺しか気づきませんって」
「そういうことじゃ……!ね、惣介さんっ」
「かわいい琴音さんの頼みでも、これは教えられません。くくっ」
「そんなっ、惣介さんっ、お願、んむっ」
さっきとは違って、私の唇を食べるように惣介さんの唇がぶつかってくる。
惣介さんは左手で私の両手を絡めとり、右手で私の後頭部を支え、私は何をすることもできない。
「ふぁ……っ、そう……んぅっ、」
惣介さんの名前を呼ぼうとして開いた唇の隙間から、惣介さんの柔らかな舌が滑り込んできて、もう私はそれに翻弄されてしまう。
口内を刺激されるたびに、どんどん力が抜けていく。
暫く味わうようにゆったりと貪られた後、ツツと銀の糸を引いて惣介さんの唇が離れた。
それと同時に、ようやくたくさんの酸素が体内に入ってきて、息絶え絶えながらも私は惣介さんのことをキッと睨む。
「ん、はぁ……っ、もう、ズルいですよね……!本当に!」
「そんなことないですよ?うるさい口を塞いだだけですから」
「っ!」
満足そうにニヤニヤと笑い、惣介さんは私の濡れた唇を指で拭う。
いつもそうされるけど、その行為は私の心臓の鼓動をドキドキと速くする。