捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
「あ、でも、私のことを嫌になったら遠慮なく言ってくださいね。その時はちゃんと三浦さんから離れますから。手間取らせるようなことはしません。ここに“恋愛”が生まれない限り、そうすることは簡単なことですし」
「……それは……受け入れられませんね」
「……へ?」
「あなただから、一緒に“家族”を作れると思うんです。だから、俺の方から離れることなんてありません。……逆の場合は……俺のワガママで横山さんの人生を縛るわけにはいかないので、諦めますけど」
「……逆……それこそないと思いますよ?……ふふっ」
「……くくっ。何か、俺たち、おかしいですよね?」
「おかしい、ですね」
まるで、お互いを想い合って結婚を決めたカップルのようで。
全然そんなものじゃないのに。
「でも、何だか楽しくなってきちゃいました。それもおかしいですけど」
「俺も何か楽しいです」
くすくすと私と三浦さんは笑う。
たったの2時間前に会ったばかりの人とこんなに笑い合えるなんて、3時間前の私には予想することもできなかった。