捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
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「お見合いしてみない?」
「え?」
私にお見合い話が舞い込んで来たのは、つい1ヶ月前のこと。
地元から少し離れた土地で就職した私を、たまたま就職先の近くに住んでいていつも気にかけてくれる叔母(私の母親の妹)に呼び出されたと思ったら、そんな話が待っていた。
「いつだったか、ぽつりと漏らしてたでしょ?“出逢いもないし、結婚からは程遠い。一生結婚なんて無理かも”、って。ちょうどね、旦那の上司からいい子いないかって話が持ち上がってきたから、琴音はどうかと思って。相手の方はちゃんとしたところに勤めてるってことだし、その仕事っぷりも真面目らしいわ。年齢は琴音の少し上みたいだけど。話を聞く限りいい人みたいだし、もし付き合ってる人とか好きな人がいないなら、一度会ってみない?」
「……えっと」
確かにそんなことを言った覚えはある。
ちょうど学生時代の友達とか会社の同僚が結婚ラッシュだった頃で、置いきぼりにされる焦りとか素直にお祝いの言葉を言えていない自分に、嫌気が指していた時だ。
……ちなみに、今はその結婚ラッシュに入り込んだ子たちの出産ラッシュだったりするんだけど。
それもまた、少しだけ心を痛めてたりもする。