捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
「不思議ですよね」
「……不思議、ですか?」
「どちらかと言えば、この前みたいな琴音さんの服装の方が好きだったんです。大人の女性、って感じが」
「!ですか……」
やっぱりこの服装は“惣介さんの好み”としては失敗だったんだな……。
惣介さんが気を使ってくれただけで、正解は動きやすいながらも大人の女性の格好をしてくるべきだったんだ。
一気に上がった気持ちがしぼんでしまう。
「……いえ。“だった”んですよ」
「……え、はぁ」
「好みって変わるものですね」
「!」
「この前の格好も素敵だと思いましたけど、琴音さんに関しては、今日の格好も俺は好きみたいです。よく似合ってますし」
「!で、ですか」
「はい。です。だから、これからは琴音さんの楽な格好をしてくださいね」
「……はい。ありがとうございます」
叔母や周りの友達には冗談混じりとは言っても「服装が若いよね」ってよく言われていて、世間的にはあまり良くないんだろうな、って思ってた。
でも……そんな私も惣介さんは受け入れてくれるんだ。
本当に私はそのままでいてもいいんだ、って思えた。
「……まぁ、でも、きっと何でもいいんですよね。結局」
「?」
「俺は琴音さんの外見だけ見てるわけじゃないですから。……とカッコいいこと言いつつ、琴音さんがスカートとか履いて大人っぽくしてきたら、またドキドキするんでしょうね」
「俺も男ですから」と聞こえた瞬間、ドクン!という心臓の高鳴りと共に、ぱっと視界が開けた。
「!」
「あ。着きましたね!」