捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

不安になった私は惣介さんのことを恐る恐る見上げる。


「あ、あの、惣介さん?」

「……ほんと、琴音さんには本当に敵いませんね」

「……?」

「……嫌なわけないでしょう?俺も、楽しいですよ。琴音さんに振り回されるの」

「!」


暗くてその表情はよく見えないけど、たぶん、いつものように楽しそうに笑ってくれてると思う。

想像すると私も顔が緩んでしまって、自然と「良かった」と口にしていた。

ふと暗い視界がさらに暗くなって、私は何だろうと目線を上に上げる。

そこにはさっきよりも少しだけ近くに来た惣介さんの姿。


「!」

「琴音さん」

「は、はい……?ど、どうかしましたか?」

「……すごく、好きです」

「…………え?」

「好きですよ」

「っ!?」


え、えっ!?な、何!?

今…………、好きって……!?

 
< 74 / 254 >

この作品をシェア

pagetop