捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
「あ。今日はツイてるかもしれませんよ!」
「え?」
「琴音さん、こっちです!」
「?」
惣介さんが早く早くと手を上下に振って、てくてくと順路から外れた場所に入っていく。
あ、あれ?順路外れちゃうけどいいのかな?
明らかにおかしいと思った私は慌てて惣介さんの後を追う。
「惣介さん、こっち行ってもいいんですか?怒られません?」
「大丈夫ですよ。裏メニュー的なものらしいですから」
「裏メニュー……?」
「ふ、そんなに不安そうな顔しなくても、変なものは出てきませんから。出てきても人かコウモリくらいです。安心してください」
「はぁ」
「それに……」
「え?」
「もし出てきても、俺がいますから。ね?琴音さんのことはしっかり守ります」
「!」
自信満々に笑う惣介さんにドキッと心臓が跳ねる。
惣介さんって、さらっとすごい言葉を吐くんだよな……。
戸惑う私に反して、惣介さんは何事もないように手すりに掴まり、その奥を覗き込み始める。
……何をしてるんだろう?