捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
「……でも。そろそろ終わりですね」
「へっ?」
「ほら、消えていきます」
ハートの輝く場所を再び見ると、ハートがどんどん小さくなっていっていた。
「……あっ、消えちゃうんですか?」
「……はい。種明かしすると、あれって太陽の光で作られていて、ちょうど光が射し込む場所にできるんです。それが1日のうち、10分の命なんです。しかも、この冬が近づく時期にしか見えない。とても儚いですよね」
「……」
ふっとハートの光が消えてしまうと、何だかぽっかりと心に穴が空いたような感覚がした。
「……なんか、寂しいですね」
「はい」
さっきまでのはしゃいでいたおしゃべりが嘘だったかのように、私と惣介さんの間に沈黙が生まれる。
……でも、嫌な沈黙ではなくて……惣介さんの存在がその寂しさを埋めてくれるようだった。
「……琴音さん」
「!……はい」
「あのハートに誓って、幸せになりましょうね?」
「!!」
惣介さんの口から飛び出してきた思いも寄らない言葉に、私は惣介さんの方に振り向く。
惣介さんは柔らかい表情で私を見下ろしている。
「……嫌ですか?」
「あっ、そういう意味じゃなくて……!」
「じゃなくて?」
「…………“幸せに”って言葉に……はい、です。」
心から思った。
惣介さんと幸せになりたいって。
……惣介さんとなら、幸せになれるって。
この時、私の中に生まれた気持ち。
それはずっと、私の心に続いていく気持ちだと思った。