航平さんと雨芽ちゃん


やっとホテルに到着して、人を縫うように早歩きで通り過ぎ、レストラン前に着いた。

けど、雨芽が居ない。

キョロキョロと見回すと、いつもよりオシャレな格好の雨芽が店の前のソファーに座り、背凭れにもたれて眠っていた。


近寄ってしゃがみ込んで下から顔を見てみると、思いの外綺麗な寝顔で。

「ごめんな。」
小さく謝罪の言葉を伝え、自分の肩に雨芽の頭を乗せた。


「んっ…航平?」
名前を呼ばれて、雨芽が起きた事に気づき雨芽を見た。

「24時5分前。
ごめんな、レストラン開いてる時間に間に合わなくて。」
「ううん。
絶対来るって分かってたから。」
俺の謝罪に、全く怒っても傷ついてもない感じでそう答えた雨芽。

本当に頭があがらないと思った。




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