航平さんと雨芽ちゃん
雨芽の実家の最寄り駅で降りて、お土産の入った紙袋を持って暫く歩くと、ずっと高い塀が続いてる事に気付いた。
「雨芽、さっきからこの塀が長いこと続いてる気がするんだけど、もしかして…」
「うん。家の塀。
ごめんね、門まで遠くて。」
雨芽は普通にそう言ったけど、思ってたより広い家に驚きしかなかった。
いや、家でか過ぎるだろ。
それからも暫く歩いて、やっと門の前まで辿り着いた。
インターホンを鳴らし、雨芽が名乗ると門が自動で開いた。
一見和風で古い感じなのに、中から操作できるらしい。
「お嬢、お帰りなさいやし。」
「拓夢(タクム)、ただいま。」
中から出てきた強面の俺より若い男は、まう中腰で前屈みになって膝に手を置いて、そう言って出迎えたのに対し、いつもとは違うクールな感じで雨芽が挨拶した。