航平さんと雨芽ちゃん
「此方でございやす。」
「組長、お嬢が帰られました。」
「入れ。」
中の人物に拓夢くんが呼び掛けると、かなり低めのハスキーな声でそう返事が返ってきた。
そして、かなり高そうな襖が開かれると、背の高そうなかなり威圧のある男性が着物姿で座っていた。
「お久しぶりです。」
「あぁ。」
「初めまして、菊田と申します。」
硬い表情で挨拶した雨芽に短く返した父親。
それに続いて俺も自己紹介をした。
「雨芽とはどういう。」
「お付き合いしております。」
「申し訳ないんですが、雨芽には決まった相手がおります。」
一応敬語で話してはくれてるが、有無をも言わさずな感じで一方的にそう言われた。