航平さんと雨芽ちゃん


「今、ちょっといい?
時間ある??」
今更ながら、ちょっと自己嫌悪に陥っていると、後ろからそう声を掛けられた。


振り向くと、父の奥さんで3兄弟の母親の佳乃さんが立っていた。

因みに巽組姐でもあるこの人とはこの家に住んでた約15年のうち、数えるほどしか会話をした事がない。

「えっと…はい。」
「ごめんなさいね。」
私の言葉を聞いてた隣に並ぶと、いきなりそう謝られた。

私が謝る事があっても、この人にはないのに。


「あの、どうしてあなたが謝るんですか??」
「私のせいもあるんだけど、この家の男達はあなたに対して酷い態度よね。」
「嫌われても仕方ありません。
私の存在は貴方や彼等にとっては忌み嫌う存在ですから。
私こそごめんなさい。
図々しく15年もお世話になってしまって。」
佳乃さんが申し訳なさそうに謝るから、こちらの方が今までの事を謝った。



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