航平さんと雨芽ちゃん
「ごめん、そこまで気が回ってなかったわ。
大丈夫か??」
「うん、大丈夫大丈夫。
こういうの慣れてるから。」
謝った俺に口では大丈夫だと答えたけど、寒さで震えてる雨芽。
慣れてるって、追い出されるのが?
それとも、寒い場所で居るのが??
どちらにしろ、あんまり言い意味ではないだろう。
「ほら、震えてんぞ。
温かい飲み物いれてやるから家入れ。」
座ったままの雨芽の細い腕を掴んで立たせ頭を撫でて、さっさと家の中に入れてやった。
小さい雨芽の『ありがとう。』って声が聞こえて、少し胸が掴まれたような気がしたけど、それには気づかないフリをした。
『あぁ、完璧コイツのペースに巻き込まれた。』って思ってももうコイツの事を気にして、泊める事にした時点でもう手遅れだろう。
仕方ないから暫くはこの面倒なお姫様の世話してやるか。
絶対に受け入れたなんて言ってはやらないけど。