航平さんと雨芽ちゃん
追憶
雨芽side
「あったか~い。」
「風呂の湯ためてるから、暫く待ってろ。」
「ありがとう。」
航平に淹れてもらった紅茶を飲みながら暖まっていると、脱衣所から出てきた航平が、私の前の席に座りながらそう言った。
数時間前…。
理咲に会って暫く話して、帰りに航平にお世話になるんだから何か作ろうと、クックパットで調べて料理の食材を買って帰宅した。
ついでに先に掃除でもと思って、廊下のクローゼットの掃除機を引っ張り出してきて、あまり散らかってない部屋に掃除機をかけだした。
結果、いろんなところに掃除機の先をぶつけてしまい、逆に私が散らかしてしまう事態になった。
自分でもこんなに散らかった部屋見た事ない。
『泥棒でも入ったの?』ってくらい。
これ以上いじろうものなら逆効果だと遅ればせながら悟り、諦めて料理に移行した。