航平さんと雨芽ちゃん
簡単な料理なら、見本を見れば作れると思ったけど、そっちも失敗。
よくよく考えると、私は料理も掃除もした事がなかった。
いつも家ではお手伝いの佳代(カヨ)さんがやっていてくれたから。
案の定、疲れて帰ってきた航平を怒らせてしまい、追い出されてしまった。
靴、履いてる余裕なかった。
靴もないし、特に行くところもなかったのでドアの横に三角座りして、爪先を見つめながら私の意識は過去へと引き戻されていった。
純和風の大きな古いお屋敷。
それが、私の住む家だった。
…といっても母家ではなく離れで、私はいつも1人だった。