航平さんと雨芽ちゃん
清は俺の一回り年下で30歳の従兄弟で、バリバリやり手の証券マン。
たまに飲みに行ったりしたけど、相手の話はほとんど聞いた事がなかった。
付き合ってる人がいるって報告は受けたけど、もしかしたら40過ぎても独身の俺にアイツなりに気を遣っていたのかもしれない。
まぁ、単に俺が結婚願望未だに薄いだけなんだけど。
「航平?
アンタはどうなん??」
「ん?何が??」
考え事をしてたら、急にお袋のでかい声で意識を呼び戻された。
「結婚やん、結婚。
良い相手が居らんなら、‘近所の人が良い人が居るからお見合いどう?’って言うてはったで??」
「いや、遠慮しとくわ。
悪いけど、断っといて。
俺は結婚する気ないから。
じゃあ来週。」
それだけ言って、お袋の返事は聞かずに通話を切った。