航平さんと雨芽ちゃん
「あっ、いえ。
特にどれがほしいとかじゃないんですけど、綺麗で目にとまったから。」
「そうですか。
ゆっくり見ていってください。」
「ありがとうございます。
中も見て良いですか??」
「どうぞ。」
美人な店員さんの了解を得て、中にも入ってたくさん陳列してある花を見た。
幸いといって良いのかは分からないけど、たまたまお客さんは私しか居なくて、『お店に迷惑じゃない?』ってくらい長い時間そこにいた。
「うちで働きませんか?」
「えっ?」
急にそう声をかけられて吃驚した。
「今、バイト募集してるんです。
うちの店、私と旦那さんしかいないから。」
「私、花に詳しくないですよ?
バイトもした事ないですし。
それでも、私で良いですか??」
「はい、大丈夫ですよ。
花の事はあとからでも覚えてくだされば。
私はこの店の店主の奥さんで、水野 琴里(ミズノ コトリ)です。」
コトリさんは店員さんは店員さんでも、店長の奥さんだった。