航平さんと雨芽ちゃん
「見せてみ?」
「うん、どうぞ?」
航平は私から本を受け取ると、ペラペラと捲りながら見ていった。
「航平、バイトは決まったけど、まだお金ないから、部屋借りるお金が出来るまでもう少し待ってね。」
「大丈夫。
急かさないから。
今出来る事を頑張れ。」
申し訳ないけど、期限を延ばしてくれるように頼むと、特に気にしてない感じで返ってきた。
「うん。
ありがとう‼」
いつもお世話になりっぱなしだから、もう一度お礼を伝えた。
翌日…琴里さんの旦那さんである店長に会う事が出来た。
「紹介するね。
私の旦那さんの伊織(イオリ)。
顔は強面だけど、中身は凄く優しいから。」
「分かりました。
アルバイトの胡桃 雨芽です。
よろしくお願いします。」
強面な人が皆中身も悪い人だとは限らないのを知ってるから、私は頷いて自己紹介した。