ロフトの上の冷たい毒 星のない漆黒の空の下
スパ『サリア』
パイナップルをグラスの淵に差した
トロピカルカクテルのストローを唇の端に軽く咥え、笹木羅夢(ささき らむ)は訊いた。



「水村さんってぇ、休みの日ぃ、何してるんですかあ?」



真鯛のカルパッチョを口に入れたばかりの私は、口元を左の手のひらで覆い隠し、クスッと笑った。



「そうね…何してるかな?
掃除したり、買い物したり。

撮り溜めたドラマ観たり。
のんびりしてるかな?」



自分のことなのに、私は他人事みたいに答える。


……羅夢が私に興味があるわけない。




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