ロフトの上の冷たい毒 星のない漆黒の空の下
子供だった。
人をたやすく非難することしか知らなかった。
……そして、未成熟だった私を傷付けたもう一人の男。
高校二年、17歳の時。
アルバイトしていたデリバリー中心の寿司屋で知り合った吉田貴彦(よしだ たかひこ)。
同い年の貴彦は、私と違い、成績優秀な男の子で県内でも指折りの私立の進学校に通っていた。
住宅地にポツンとある小さな店舗で、私は箸や醤油の小袋を添えたり、直接、寿司を買いに来る客に対応する店員だった。
貴彦は、原付きバイクで寿司を宅配するデリバリー係。
圧倒的に電話注文のほうが多くて、ショーケースもない店に買いに来る客は、夕方からポツポツ現れる程度だ。
時給も安い分、楽な仕事だった。
私の家からは、徒歩30分くらいだったので、週3回の小遣い稼ぎのバイト先にはちょうど良かった。
貴彦が『濱の夢』に入ってきたのは、私よりひと月あとのこと。
私が、バイトを始めて半年ほど経った頃だ。