ロフトの上の冷たい毒 星のない漆黒の空の下
「タカ……」
ルミは、しくしくと泣き始め、貴彦の胸に縋り付いた。
貴彦は、その肩を優しく撫でさすった。
それは美しい光景だったのかもしれない。
でも、私には、何かの死骸のように見えた。
とても直視するに耐えられないもの。
私は、顔を背け、無言のままその場を立ち去った。
ーーーなんの感情もない……
貴彦の言葉は、私の淡い恋を粉々の打ち砕くのに充分だった。
夜、私は、布団の中で妹に気付かれないように声を押し殺して泣いた。
……夜明けまで。
貴彦が、次の日、漫画の最新巻を私に届けることはなかった。
その次の日も、その次も……
永遠になかった。