ロフトの上の冷たい毒 星のない漆黒の空の下
時々、上目遣いに射るような視線を投げる彼女には、あからさまな敵対心が見て取れた。
……知っている……
羅夢は、達也と私の関係を。
そして、挑んでいる。
確かに二週間前の金曜日、達也は飲み会に出掛けた。
江頭が率いる6,7人の古参パートタイマー達と。
その中に、羅夢もいた。
意外にも羅夢は彼女達と仲が良かった。
『なんで俺が誘われたんだろう?』
達也は少し困惑していたけれど、気心の知れた江頭の誘いを断れなかった。
達也に何か変化があったわけではなかった。
いい意味でも悪い意味でも。
羅夢の話が本当だとしても、
いち夜の過ちーーー
世間でよくある話で愛はなかったのだろう。
疑ってしまえば、達也を失うことになりかねない。
羅夢は、若い。
仕事場に、小さなマーガレットが並んだカチューシャをしてくるような子だ。
そして、自惚れが強く、変わっている。