ロフトの上の冷たい毒 星のない漆黒の空の下
爆弾
土曜の朝は雨だった。
達也はいつものように、朝10時に私の部屋を訪れた。
焼きたてのパンを胸に抱え、私が頼んだ牛乳も買ってきてくれた。
「ほら、まだほのかに温かいぞ」
目尻の下がった人の良い笑顔。
玄関先で私にそれらを手渡しながら、ハンカチタオルで濡れた腕や頭を拭う。
「結構降ってる?」
「ああ。全然止む気配はないよ」
「嫌あね。せっかくの休みなのに」
冷蔵庫からウインナーを取り出し、私が身体の向きを変えた途端。
固くて冷たい達也の指が、私の頬に触れる。
「よしみ」
達也の唇が近づいてきて、私達は抱擁する。
1週間振りの触れ合い。
嬉しいはずなのに…
私はそっと顔を背向け、輪になったその腕から逃げる。
ーー唐沢課長に抱いてもらったんです…
粘つくような羅夢の声が蘇る。