ロフトの上の冷たい毒 星のない漆黒の空の下
しかし、羅夢と過ごすうち、彼女の目付きが時々鋭くなるのは、目が細く、黒眼が小さいからだと気付いた。


生意気な言い方も慣れると、気にならなくなる。それは、羅夢の素の姿だ。


お互いにこのスパで借りた、薄紫の入浴着。

下着はショーツだけで、羅夢はノーメイクだ。
彼女は普段から、化粧気がなかった。


私だって、素を彼女に晒したっていいのに。…内面も外見も。

私はそれが出来ず、このエスニックレストランに入る前、岩盤浴サウナで剥げてしまった眉とアイシャドウを軽く直した。


この店には、壁掛けの大型テレビが設置されていて、1人で来ても楽しめる。


午後8時半過ぎ。

私達のすぐそばにあるテレビでは、難解な漢字を芸能人達が読み当てる、という番組をやっていた。


その合間に、ハリウッド大物監督が撮った映画のコマーシャルが流れた。


「あ…これ、面白かったなあ……」


私は思わず呟いた。

達也の趣味は、映画。
DVDも含め、洋画を中心に観ている。

この映画も、達也が観たいといって付き合った。

それから、食べ歩きも好きだ。




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