きみとぼくと、世界と【短編】





「うそだ」


力なく呟いて、応えるはずないとわかっていながら何度も名前を呼んだ。


何度も何度も、何度も。


呼ぶたびに鼻の奥がつんとして、視界はぐにゃりと歪んだ。


返事をくれないきみはまるで眠っているみたいだ。



ぼくをからかってるんだろう?


ねぇ、返事をしてよ。

ねぇ…ねぇ…お願いだよ。
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