恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~

気付いたら、涙が溢れて止まらなくなっていた。


いつも明るくて強い佑真に、そんな過去があったなんて。


佑真にお母さんがいないなんて。


佑真のお母さんが死んじゃってたなんて。



「お嬢が泣くなって~」


三浦先輩が笑いながら、肩に腕を伸ばしてくる。


「そのうち佑真が来るかもしれないだろ?お嬢が泣いてたら変に思うぞ?」


うんうんと頷きながらも、涙は溢れてくる一方。



これっぽちも想像できなかった。


あたしの知らない数年間、野球をさぼっていた時期があったとも思えないくらい技術には磨きがかかってた。


だから、そんなにつらい経験があったなんて、夢にも思えなくて。

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