恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
「まぁ……佑真は"野球が恋人"だもんね」
厄介な人を好きになったよ…と慰めるようにさくらがポンと肩に手を乗せた。
うん。その通り。
なんで佑真を好きになっちゃったのかと、自分が哀れになるほど彼は女の子に興味がないのだ。
「あたしはここから眺めてるだけで幸せなの」
現実はそれだけ。
グラウンドの隅で、再び投球練習を開始した佑真に視線を注ぐ。
一緒にトスバッティングをしている時より、あたしはこの時間の方が好きかもしれない。
キャッチャーのサインに首を縦に振り、そこへめがけて球を投げ込む佑真の姿。
好きな人の真剣な顔をこんなに近くで見られる。
……なんて贅沢な時間なんだろう……