恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
マウンド上では、こっちにまで気迫が伝わってくるような負けん気を前面に出した1番くんが必死に球を投げ続けていた。
今年のエースは生意気な奴なんだ…ってお父さんが言ってたっけ。
だけど、誰よりも野球が大好きだって。
昔の佑真によく似てるって言ってた。
「おーし、いいぞいいぞー。ナイスピッチ!」
ピンチを切り抜けた1番くんに向けて、佑真が手を叩く。
グラウンドを見つめる佑真の顔は、プレーしている少年たちと同じ目で。
一緒に白球を追いかけていた時期が走馬灯のようによみがえった。
今はもう同じグラウンドでプレーは出来ないけど、追い求めているものは一緒だって信じたい……。
ふと、佑真が呟いた。