恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
カキーン。
目の前で快音が響く。
あたしは佑真のトスバッティングにひたすら従事。
佑真は朝のことには一切触れず、いつものようにトスバッティングの相手にあたしを指名した。
実はまだ怒ってるんじゃないかってビクビクしてた。
でも、いつまでも根に持つタイプじゃない佑真は、内角や外角、色んな球を要求してバッティングに没頭してる。
………良かった。
「はーはーっ……」
厚着してきたけど、やっぱり今日はかなり寒い。
あたしは座ったたままボールを投げるだけだから、体は冷たくなっていく一方。
足踏みをして、合い間合い間に指先に息を吹きかけていると
「コレしとけよ」
佑真が練習着のポケットから何かを投げてよこした。