恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
それはバッティングの時にはめる野球用の手袋だった。
「いいの?」
「俺と違って動いてない瑠依は相当寒いだろ」
……やっぱり佑真は優しい。
体はひえきってるけど、その心遣いに体が心なしか温まっていく気がする。
「ありがとう」
氷のように冷たい手に手袋をはめる。
生地は薄いけど、それでも随分と楽になった。
「つうか、手がかじかんでいい球投げらんなくなったら俺が困るし」
「…そういうこと!?」
「今日は500球付き合ってもらうから覚悟しとけよ」
「500球!?」
あたしは目を丸くした。