恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
「え、じゃねえよ。どこ投げてんだ?」
上げたボールは佑真の顎に直撃していたらしく、当たった箇所をさすっていた。
「ごっ、ごめん!」
立ち上がって、佑真の顎を覗き込む。
……あたし、何やってんだろう。
動揺するなんて、彼の思うつぼなのに。
佑真に見られないように、西川先生を小さく睨みつけると、彼はニヤリと笑ってこの場から離れて行った。
「………」
そうか。
そういうことか。
"甲子園に行けるなら、どんなことだって耐えて見せる"
あたしは昨日西川先生にそう公言した。