恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
「何ぼーっとしてんだよ」
「ごめんっ……」
慌ててトスしたボールは。
「あっ……」
すっぽ抜けて、佑真の背後をコロコロと転がる。
「今日のオマエ、やっぱなんかヘン」
「……ごめん」
「もういいわ」
バットを置くと、佑真はエビ君に声を掛けて別の場所に移動してしまった。
………あ。
今は佑真のトス上げに集中しなきゃいけなかったのに。
また、失敗しちゃったよ……。
投球練習を開始した佑真の背中を、あたしはただ呆然と眺めていた。