恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
その姿はすぐに背中に変わり、あたしから遠くなっていく。
「……っ…」
そんなの言い逃げするなんて、反則だって……。
ほんと佑真は……ひどい。
ムチを与えたかと思ったら、アメをくれたり。
だけど、
そんな言葉をたまに掛けてもらえるから、あたしだってこうして頑張れてるんだよ―
胸の中に柔らかい熱がゆっくり広がっていく。
佑真が飲み終えたアクエリのボトルを抱き締めながら、その背中を見送っていると、
「瑠依!」
その背中がふいに振り返ったものだから、熱が一気に頭のてっぺんまで駆けぬけた。
「後で新しいボール出しといてくれよ!」
「うん、わかった!」
あたしはドキドキしながら返事を返した。